【読書】『そいつはほんとに敵なのか』

【読書】『そいつはほんとに敵なのか』


『そいつはほんとに敵なのか』
著:碇雪恵
hayaoki books


「喧嘩がしたい」という衝動から始まり、身の回りの出来事や人間関係に思いを巡らせていく
エッセイ集です。後半では、自分の考えとは異なる政党支持者へのインタビューを通して、
「敵とは何か」を問い直していきます。
そして最終的には、敵や戦うといった発想そのものを手放したい、という境地に至る流れが印象的でした。


その中で印象に残ったエピソードのひとつに、
「仕事や用事を挟めば人と会うことができるけれど、何も挟まずにただ会って話したり食事をするのは
不安だ」というものがありました。


私はこの感覚にとても共感しました。
自分自身も、仕事や用事があれば人と会うことに抵抗はないのですが、
「ただ会いたい」「話したい」という理由で誰かを誘うことには、少しハードルを感じてしまいます。


また本書の中では、相手の痛みに触れたとき、それを理解しようとするのではなく
自分の経験や感情を重ねてしまい、いつの間にか自分の話にすり替わってしまうことへの違和感についても
触れられていました。


それを読んで、確かにそうだと思う一方で、その違和感に「共感してしまう」自分がいることに、
少し戸惑いも覚えました。そのため、「共感した」とはっきり感想を述べていいものかと逡巡する気持ちも
ありますが、それも含めて書いてみました。


「共感する」ことは、相手に同調して寄り添うよう行為として、良いことだと思ってきました。
しかし、この本を読んで、その考えが少し変わったように思います。


私は人に何か相談をするとき、共感してもらえると心強く感じて嬉しいのですが、
100%自分と同じ心情にまで共感してもらうことは難しいとも感じています。
それでも理解してほしい、理解したいと、コミュニケーションを諦めないでいたいと思う一方で、
人と向き合うことの難しさを改めて考えさせられる一冊でした。