

楽器、楽譜、音源、演奏記録、研究資料など、音楽家の方が残されるものには、
長い音楽人生をともに歩んできた大切なものが多くあります。
これらは、金銭的な価値だけでは判断しにくく、ご本人の歩みや想い、音楽活動の記録と
深く結びついているものでもあります。
しかし、何も決めないまま相続が発生すると、残されたご家族が「どう扱えばよいのか」
「誰に引き継げばよいのか」で迷ってしまうことがあります。
音楽家にとっての遺言書は、財産の分け方を決めるだけでなく、
大切な音楽財産を、どのように残し、誰に引き継ぐのかを考えるための手段でもあります。
大切にしてきた楽器や楽譜、音楽資料を次の世代へつなぐために、
音楽家こそ、遺言書について一度考えてみませんか。
一般的な相続では、預貯金、不動産、有価証券などが主な財産として考えられます。
一方で、音楽家の方の場合には、それに加えて、楽器、楽譜、録音、映像、演奏記録、研究資料、
作品に関する権利など、音楽活動に関わるさまざまなものが残ることがあります。
これらは、ご本人にとっては非常に大切なものであっても、ご家族にとっては価値や扱い方が
わかりにくい場合があります。
・この楽器は誰に引き継いでほしいのか
・書き込みのある楽譜は残してほしいのか、処分してよいのか
・録音や映像のデータはどこに保管されているのか
・作品や著作権に関する資料は誰が管理するのか
・門下生や音楽関係者に渡したい資料はあるのか
このようなことは、ご本人でなければ判断しにくいことも少なくありません。
だからこそ元気なうちに、何を、誰に、どのように引き継ぎたいのかを整理しておくことが大切です。
音楽家の相続では、一般的な相続財産に加えて、音楽活動に関わる財産や資料についても
考えておく必要があります。
ここでは、特に整理しておきたいものをご紹介します。
楽器は、法律上は相続財産(動産)にあたります。
たとえば、
・グランドピアノ
・アップライトピアノ
・ヴァイオリン、チェロなどの弦楽器
・フルート、クラリネット、トランペットなどの管楽器
・その他、長年使用してきた楽器
などは、相続の対象となることがあります。
楽器は高額な資産である場合もありますが、それ以上に、ご本人の活動や思い出が強く結びついている
ものでもあります。
また、楽器によっては保管場所や管理方法にも注意が必要です。
ご家族の中に演奏する方がいない場合、
「誰が引き継ぐのか」
「売却するのか」
「誰かに譲るのか」
「保管を続けるのか」
といった判断に迷うこともあります。
遺言書であらかじめ楽器の引き継ぎ先を決めておくことで、
残されたご家族の負担を減らし、ご本人の希望に沿った形で楽器を残しやすくなります。
音楽家の方のご自宅には、長年集めてきた楽譜やスコアが大量に残されていることがあります。
・勉強の書き込みがある楽譜
・指番号や解釈のメモが入った楽譜
・研究用のスコア
・レッスンで使用していた教材
・絶版になっている楽譜
・演奏会で使用したパート譜
これらの楽譜も、法律上は相続財産にあたります。
ただし実際には、家具や書籍などと同じように「家財」として扱われ、遺産分割協議書に一つひとつ
細かく記載しないこともあります。
しかし、音楽家にとっての楽譜は、単なる紙の資料ではありません。
書き込みのある楽譜や長年使い込んだスコアには、その人の勉強の跡、演奏解釈、指導の記録が
残されています。
ご家族には価値がわかりにくくても、門下生や音楽関係者にとっては大切な資料となる場合もあります。
このような楽譜について、特定の弟子に引き継いでほしい、音楽関係者に譲りたい、
教育機関に寄贈したいなどの希望がある場合は、遺言書やエンディングノートで方向性を示しておくと
安心です。
音楽家の方には、演奏会やレッスン、研究活動に関する録音・映像資料が残されていることがあります。
・CD
・DVD
・カセットテープ
・MD
・外付けハードディスク
・USBメモリ
・スマートフォンやパソコン内の録音データ
・クラウド上に保存された演奏動画や音源
これらは、ご本人の演奏の記録として大切な資料です。
一方で、残されたご家族にとっては、
「どこに何が入っているのかわからない」
「再生する機器がない」
「保存すべきものか判断できない」
ということもあります。
特にデジタルデータは、保存場所やパスワードがわからないと、存在していても確認できない場合が
あります。
遺言書そのものに細かなデータの所在をすべて書くことが難しい場合でも、エンディングノートなどで、
・音源や映像の保管場所
・大切に残してほしい録音
・公開してよいもの、公開してほしくないもの
・誰に確認してほしいか
・処分してよいもの
を整理しておくと、ご家族が判断しやすくなります。
作曲や編曲を行っている音楽家の場合、著作権についても考えておく必要があります。
著作権は相続の対象となる財産権であり、原則として著作者の死後70年まで保護されます。
たとえば、
・作曲した作品
・編曲作品
・出版されている楽譜
・印税や使用料に関する権利
・作品の管理に関する資料
などが関係することがあります。
著作権がある場合には、誰がその権利を引き継ぐのか、誰が作品を管理するのかを整理しておくことが
大切です。
また、作品に関する契約書や出版社・団体とのやり取りがある場合は、それらの資料の所在も
わかるようにしておくと安心です。
なお、著作権の内容や契約関係が複雑な場合には、必要に応じて弁護士など他士業の関与が
必要になることがあります。
当事務所では、まずは遺言書作成に向けた整理として、どのような作品や資料、権利関係があるのかを
確認するところからサポートいたします。
音楽家の方のもとには、長年の活動の中で集めてきた資料が多く残されていることがあります。
・研究資料
・レッスン資料
・講座や講演の資料
・演奏会プログラム
・批評記事や掲載誌
・音楽書籍
・門下生に関する資料
・活動記録や写真
これらは、ご家族にとっては価値がわかりにくい一方で、音楽関係者や教育機関にとっては
貴重な資料となる場合もあります。
すべてを細かく指定する必要はありませんが、残してほしい資料、処分してよい資料、
特定の人に渡したい資料、寄贈を検討してほしい資料を大まかに整理しておくだけでも、
残された方の負担は軽くなります。
「遺言書を書くほどではない」
「まだ具体的に決めきれていない」
「まずは自分の持ち物を整理したい」
そのように感じる場合は、まずエンディングノートで整理しておく方法もあります。
エンディングノートは、遺言書のような法的効力を持つものではありません。
しかし、楽器や楽譜、音源、データ、資料の所在や希望を書き残しておくことで、
ご家族が判断に迷ったときの手がかりになります。
特に音楽家の方の場合、
・大切な楽器について
・残してほしい楽譜について
・音源や映像データの保存場所
・作品や著作権に関する資料
・連絡してほしい音楽関係者
・門下生や関係者に伝えたいこと
などを整理しておくとよいでしょう。
遺言書で法的に残すべきことと、エンディングノートで気持ちや補足情報として残しておくことを
分けて考えると、無理なく準備を進めやすくなります。
▶「終活は何から始める?まずはエンディングノートから」はこちら
遺言書というと、財産を誰に渡すかを決めるもの、という印象が強いかもしれません。
もちろん、遺言書には財産の承継先を明確にするという大切な役割があります。
しかし、音楽家の方にとっては、それだけではありません。
大切に使ってきた楽器を誰に託すのか。
書き込みのある楽譜を残すのか。
録音や映像をどう扱ってほしいのか。
作品や資料を誰に管理してほしいのか。
こうしたことは、ご本人の意思がなければ、残された人には判断が難しいものです。
遺言書を作成しておくことで、ご自身の希望を明確にし、残されたご家族や関係者の負担を
減らすことにつながります。
また、遺言書は一度作成したら終わりではありません。
状況が変わった場合には、後から内容を見直したり、作り直したりすることもできます。
「まだ早い」と感じる段階でも、まずは現時点での希望を整理しておくことが、大切な備えになります。
▶「遺言書が必要な人とは?作成をおすすめしたいケースを解説」はこちら
当事務所では、音楽活動を続ける行政書士として、音楽家・演奏家の方の遺言書作成に関する
ご相談に対応しています。
たとえば、次のような内容について整理をサポートいたします。
・楽器や楽譜の引き継ぎ先をどう決めるか
・音楽資料や研究資料をどのように扱うか
・録音、映像、データの所在をどう整理するか
・作曲作品や著作権に関する資料をどう確認するか
・相続人同士でトラブルにならないよう、遺言内容をどう整理するか
・公正証書遺言にする場合の流れや必要書類
遺言書の内容は、法律的に有効であることが大切です。
一方で、音楽家の方の場合には、単に財産名を書くだけでは、ご本人の希望が
十分に伝わらないこともあります。
当事務所では、音楽の現場に関わってきた視点を活かしながら、大切な楽器や楽譜、音楽資料を
どのように残したいのかを一緒に整理し、遺言書作成に向けてサポートいたします。
必要に応じて、司法書士、税理士、弁護士など、他士業の関与が必要となる場合についても
確認しながら進めます。
大切にしてきた楽器、楽譜、音源、音楽資料をどのように残すかは、
ご本人にしか決められないこともあります。
「まだ遺言書を書くほどではない」と感じる方も、まずは現在の状況やご希望を整理するところから
始められます。
ご自身の音楽活動の歩みを、どのように次の世代へつなぐのか。
その備えとして、遺言書やエンディングノートの活用を考えてみませんか。
当事務所では、音楽活動を続ける行政書士として、
音楽家・演奏家の方の想いに寄り添いながら、遺言書作成に向けた整理をサポートいたします。
▶「終活は何から始める?まずはエンディングノートから」はこちら
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