

相続手続きでは、亡くなった方の戸籍を集めて、法律上の相続人を確認する必要があります。
とはいえ、戸籍収集と聞いても
「戸籍はどこで取れるの?」
「誰の戸籍を取ればいいの?」
「どこまでさかのぼる必要があるの?」
「子どもがいない場合はどうなるの?」
と迷う方も多いのではないでしょうか。
相続手続きで必要になる戸籍は、家族構成によって変わります。
基本的には、まず被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、その内容を確認しながら相続人となる方の
戸籍を集めていきます。
この記事では、戸籍を取得できる場所や、相続手続きで戸籍を集めるときの基本的な流れについて
解説します。
相続手続きで戸籍を集める目的は、法律上の相続人が誰なのかを確認するためです。
相続人は、家族の話し合いや感覚だけで決められるものではありません。
戸籍を確認し、被相続人との続柄や、相続人となる方が存命かどうかを確認する必要があります。
たとえば、預貯金の解約や不動産の相続登記を行う場合、金融機関や法務局に戸籍を提出して、
相続関係を確認してもらうことになります。
戸籍収集が不十分なまま手続きを進めてしまうと、後から相続人の漏れが判明することもあります。
そのため、相続手続きでは、戸籍を順番にたどって相続人を確定していくことが大切です。
※相続手続きで戸籍収集が必要になる理由については、別の記事でも解説しています。
▶「相続手続きで戸籍収集が必要な理由」はこちら
戸籍収集で最初に行うのは、被相続人、つまり亡くなった方の戸籍を集めることです。
ここで必要になるのは、死亡の記載がある戸籍だけではありません。
原則として、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を集めます。
なぜなら、死亡時の戸籍だけでは、過去の家族関係をすべて確認できないことがあるからです。
戸籍は、婚姻、転籍、法律の改正による改製などによって、新しく作られたり、作り替えられたりする
ことがあります。
そのため、現在の戸籍や死亡時の戸籍だけを見ても、過去の婚姻、子の有無、養子縁組、認知などを
確認しきれない場合があります。
被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどることで、子がいるかどうか、養子縁組をしているか、
認知した子がいるかなどを確認していきます。
戸籍は、基本的に本籍地のある市区町村役場で取得します。
ここで注意したいのは、戸籍は「住所地」ではなく「本籍地」で管理されているという点です。
今住んでいる市区町村と本籍地が違う場合は、本籍地の役場に請求する必要があります。
本籍地がわからない場合は、本籍地入りの住民票を取得することで確認できます。
本籍地が遠方にある場合は、郵送で請求できます。
また、令和6年3月1日からは、戸籍証明書等の広域交付制度により、本籍地以外の市区町村窓口でも
戸籍謄本等を取得できるようになりました。
広域交付制度を利用すると、本籍地が遠方にある場合や、複数の市区町村に本籍地が
またがっている場合でも、最寄りの市区町村窓口でまとめて請求できることがあります。
ただし、広域交付は窓口での請求に限られ、郵送請求や代理人による請求では利用できません。
また、請求できる人や取得できる戸籍の種類にも制限があるため、すべての戸籍を広域交付で取得できるとは
限りません。
相続手続きでは、除籍謄本や改製原戸籍など古い戸籍が必要になることも多いため、
取得方法に迷う場合は、請求先の市区町村役場に確認しながら進めると安心です。
被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は相続人になります。
配偶者は、子、父母などの直系尊属、兄弟姉妹のどの順位の相続人と一緒になる場合でも、
相続人になります。
そのため、戸籍収集では、まず配偶者の有無を確認したうえで、次に子がいるか、子がいない場合は
父母などの直系尊属がいるか、さらに直系尊属もいない場合は兄弟姉妹がいるかを確認していきます。
被相続人に子がいる場合、原則として子が相続人になります。
この場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍で子の有無を確認したうえで、相続人となる子の現在戸籍を
集めます。子の戸籍を確認するのは、その子が相続開始時に存命かどうかを確認するためです。
子が相続人になる場合、父母や兄弟姉妹は相続人にはなりません。
そのため、通常は父母や兄弟姉妹の戸籍まで集める必要はありません。
ただし、子がすでに亡くなっている場合には、その子の子、つまり被相続人から見た孫が相続人になることが
あります。そのため、子が先に亡くなっている場合には、亡くなった子の戸籍をたどり、
孫などの代襲相続人がいるかどうかを確認します。
被相続人に子がいない場合、次に相続人になる可能性があるのは、父母などの直系尊属です。
直系尊属とは、父母、祖父母など、被相続人より前の世代にあたる親族のことです。
この場合、まず被相続人の父母が存命かどうかを戸籍で確認します。
父母がすでに亡くなっている場合でも、祖父母が存命であれば、祖父母が被相続人になることがあります。
そのため、子がいないケースでは、父母の死亡の有無や、さらに上の世代の存命状況を確認するために、
戸籍を集める必要があります。
被相続人に子がおらず、父母などの直系尊属もいない場合、次に相続人になる可能性があるのは
兄弟姉妹です。兄弟姉妹が相続人になるケースでは、戸籍収集の範囲が広くなりやすいです。
なぜなら、兄弟姉妹を確認するためには、被相続人本人の戸籍だけでなく、被相続人の父母の戸籍も
たどる必要があるからです。
被相続人の父母にどのような子がいたのかを確認することで、被相続人の兄弟姉妹を確定していきます。
また、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合には、その子、つまり被相続人から見た甥・姪が相続人に
なることがあります。ただし、兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪までです。
甥・姪もすでに亡くなっている場合、その子までは代襲しません。
戸籍収集は、相続人となる可能性のある方全員の戸籍を、最初から一度に集めるものではありません。
まずは被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認し、その内容に応じて子、父母などの直系尊属、
兄弟姉妹へと確認範囲を広げていきます。
基本的な流れを図にすると、次のようになります。
※図は一般的な流れを示したものです。実際に必要となる戸籍は、家族構成や戸籍の内容によって
異なります。
このように戸籍収集は、被相続人の戸籍を起点に、相続順位に応じて必要な戸籍を確認していく作業です。
戸籍収集は、基本的な流れを押さえておけば進めやすくなります。
ただし、被相続人が何度も転籍している場合や、兄弟姉妹が相続人になる場合には、請求先が
複数になったり、必要な戸籍の範囲が広くなったりすることがあります。
また、古い戸籍は手書きで読みにくいこともあり、戸籍を集めたあとに相続関係を整理する段階で
迷うこともあります。
戸籍収集でつまずきやすいポイントについては、別の記事で詳しく解説しています。
▶「相続の戸籍収集でつまずきやすいポイント」はこちら
必要な戸籍がそろったら、相続人が誰なのかを整理します。
相続人が確定したら、遺産分割協議を行ったり、預貯金の解約や不動産の相続登記などの手続きに
進んだりします。
また、相続関係説明図や法定相続情報一覧図を作成することで、その後の手続きが
進めやすくなる場合もあります。
特に、複数の金融機関で手続きが必要な場合や、不動産の名義変更が
ある場合には、戸籍を集めるだけでなく、相続関係をわかりやすく整理しておくことが大切です。
相続手続きで戸籍を集めるときは、まず被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認します。
その内容をもとに、子、父母などの直系尊属、兄弟姉妹へと、必要な範囲を順番に確認していきます。
戸籍収集は、相続人を確定するための大切な作業です。
どこまで戸籍を集めればよいかわからない場合や、戸籍を集めたあとの相続関係の整理に不安がある場合は、
専門家に相談しながら進めると安心です。
当事務所では、土岐市・多治見市・瑞浪市を中心に、相続手続きに関するご相談を承っております。
戸籍収集や相続人調査でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。